【川山 竜二】学習戦略としての「知のプロフェッショナル」

来るべき社会

これまで筆者は、Society 5.0という来るべき社会は、知識社会であると主張してきた。ここでおさらいをしておくと、知識社会そのものは、およそ50年前から提言されている社会のかたちのことである。経営学やマネジメント分野ではおなじみのP・F・ドラッカーが『断絶の時代』で最初にまとまった考え方をあらわしている。知識社会とは、社会の様々な領域——政治・経済・文化など——で知識が重要な役割を果たすようになる社会である。社会の中心的な要素となる知識は、生まれながらにして持っているものではないので、親から子へ代々相続していくことはできない。そして、知識には国境がない(万有引力の法則はどこでも成立するように)。だからこそグローバルで激しい競争社会になることが予言されている。格差が生まれるとしたら、知識を持つものと持たざるものということになる。

知識社会では、知識が重要な要素になるので、知識の生産も盛んに行われることになる。そうなると知識は瞬く間にアップデートされ、陳腐化する命運にある。厳密に言えば、長い期間残る古典的な知識とすぐに陳腐化されてしまう知識の2つのパターンに分かれるだろう。いまの子どもたちが学校で習っている知識は、社会人になる頃にはすでに時代遅れの知識になっていることが今後は頻繁に起こるようになる。そうすると、たくさんの知識を学ばせるために学校教育期間を延ばせばよいのではないかという発想にもなるだろう。しかし、社会が目まぐるしく変化するなかで、どのような知識が必要なのかをあらかじめ予測し、その知識を教えるのは困難である。そこで、大人になった後でも必要に応じて学ぶことが必要となるわけだ。社会に出た後も学び続け、自身の能力や可能性を拡大しつづける能力が求められることになる。一方で、社会においてその成果が適切に評価され、活用されることが重要となる。

1 2

川山 竜二(かわやま  りゅうじ)

学校法人先端教育機構
社会情報大学院大学研究科長・教授

文部科学省
持続的な産学共同人材育成システム構築事業委員
実務家教員COE 事業責任者


専門学校から予備校、大学院まで様々な現場にて教鞭を執る実績を持つ。
現在は、「社会動向と知の関係性」から専門職大学、実務家教員養成の制度設計に関する研究と助言も多数行なっている。そのなかで、リカレント教育やラーニング・ソサエティ、知識3.0を提唱。現在の関心のキーワードは、実践の理論・高度専門職業人。

▼『川山 竜二』の過去記事を読む

【2020/1月】ICT教育のこれから Society 5.0に対応する教育へ向けて

【2019/12月】文系・理系・職業系?―専門職教育のゆくえ

   ≫さらに読む