全国の主要塾は、新型コロナ感染に如何に対抗したか?
第一回 『変化が早すぎることはない。進化は少しずつだが、変化は急にやってくる』

今回の新型コロナウイルスは、誰も予想出来ず、誰もまだ克服できない、過去最強のウイルスであるが、だからこそ、それを克服していくことで、これまで全く想像すら出来なかった新たなビジネスシーンが展開される可能性がある。

ライブ授業配信からオンライン授業へ加速度的に教育現場が進化しており、教師という存在もそれに伴い変化せざるをえない・・。

全国各地の大中小の塾に継続的なリサーチをかけつつ、私教育新聞では、この新たな教育シーンについて、コロナ対策も含めて各塾の行動と見解を聞いた。

まず第一回は、各塾の塾長の「コロナ後の教育」について掲載する。

首都圏の英語中心のA塾

「まず、教育の分野においてオンラインが急激に普及したこと。この点については今後の定着・発展に大いに期待している。

学習の部分では、保護者が学習内容を見る機会が多くなったことで、これまで以上に保護者の意識においても教育格差が広がると感じている。もちろん、3か月遊び続けている子ども達も多いはずだから、この期間に学習を継続できていたかどうかで、こちらも差が大きく出る事だろう。

私は学習の面よりも「人と接する力」に大きな障害が出てこないか心配している。人と接することを悪いことだと思うような世の中になってしまう可能性があること。そして、人と接しないで過ごしたこの数か月のライフスタイルを当たり前だと感じてしまう事をとても怖いと感じている。

それほど極端な変化はすぐには起こらないにしても、コロナ前とコロナ後、どちらの生活が長いかによって、人との接し方にギャップが出てきてしまう事は避けられないのかもしれない。

その様な中でも嬉しいことにオンラインレッスンの一コマで、「コロナが収束したら、何がしたい?」の問いに「直接みんなと会っておしゃべりしたい」と答えた小学生がいた。

もし時代が変わってしまっても、安全のための閉鎖より、人と繋がり安全を保つ方法を見つけようとする子ども達を育てたいと考えている」

 

東北のB塾

「正直わからない。初めて経験する事ばかり起きているわけですから、今後の日本の、いや世界の社会習慣の変化の始まりなのではないかと思うことだからだ。

特に、教育業界はいま大きく変わろうとしている。学校に行けないことに変わるオンライン授業の加速化。デジタル教育をドンドン進めていく文科省と教材メーカー。(もともと何か裏がありそうだなと思っているが)これは教育なのかと不安に思ってしまう。

実際、以前からオンライン授業を実施している私立高校に通っている生徒からの話によると、“初めの1週間ぐらいは楽しいのだが、2週目、3週目と継続されていくと、気が抜けない、チェックが厳しい、監視されているようだ等、ジワジワとストレスが溜まってきている。”という話があちこちから聞かれた。このような精神状態では学力が身に着く前に精神がパンクしてしまう。サポート的に利用すれば効果があるものがメインをはったのでは無理がくる。オンラインが中心になる教育には不安しかないか??

テレビや新聞報道は、オンライン授業を導入した時だけしか報道されない。便利でいいことだけを報道する。その1か月後、2か月後はどうなっているのか。追跡調査してほしい!変わらなくてもいいものがあってもいいんじゃないか!?」

 

中部東海地区のC塾

「民間教育だけでなく公教育の世界でも、オンライン授業やICT教育が加速していくものと思われる。特にステイホームに慣れた子どもたちの中には、塾に出かけるのではなく、自宅で学習することが当たり前になってくるかもしれない。民間教育では、そういったニーズに応えていくことが求められてくるはずだ。したがって民間教育では、必然的に、オンライン授業を効率化し、そのために、ICTとデジタル教材の活用が不可欠となる。オンラインの仕組みとICTを上手に活用して、デジタル化に成功したところが生き残り、乗り遅れたところは淘汰されていくのではないか?

その一方で、しばらくの間は、対面での指導を望む保護者も根強く残るはずだから、ICTを活用しつつ、生徒と向き合う指導を可能にすれば、今まで負け組だったところも、勝ち上がっていけるように思う」

 

首都圏のD塾

「変化が出来ない組織は衰退していく。学校教育も是非が問われる。教育においては、教師の質が高いか低いかが浮き彫りになる。国の教育内容をしっかりアップデートするチャンス。大学教育も同じく。徳育を学ぶ事が今後重要。あとは食育等。

いかに我々が便利さという薄氷の上を歩いているのかを自覚する様な授業や学校コンセプトを掲げる必要あり」

 

東北のE塾

「おそらくはオンライン化が進みます。Zoom等でのきちんと生徒と対面できる授業はニーズが高いと思う。そうなると塾は個人経営で十分になると思われる。今までみたいな高収入は期待できないし、合宿や特訓は人が集まりにくいと思われる。また廃業やMAが加速すると予想される」

 

首都圏のF塾

「いつ、第2次感染の波がくるかわからないので、インターネットでの授業にもすぐ切り替えるような教育環境を整備することが、公教育でも、塾教育でも必要。

しかし、実際にインターネットでの通信授業をやってみると、対面授業がいかに効率的か、また、生徒同士の交流や、生徒と先生との交流がいかに大事かがよく分かる。なので、換気、対人距離などを保ちつつ、対面授業を行うかも重要であるし、インターネットを使った授業で、いかに、生徒同士の交流や先生と生徒の交流をつくれるかが課題である。

教育なくして、日本の存続はありえないが、一方、個人レベルでみれば、病気にならない方が教育より大事というのも当然である。大人数のクラスでは、社会的距離を保って授業を行うのは困難であり、インターネットを使った大人数授業では、生徒と先生の距離が遠すぎる。

コロナ以後の塾業界は、
(1) 安い単価で、大人数に対して映像録画授業をする大手
(2) 少人数で、インターネットで双方向授業をする塾
(3) 少人数でゆったりした環境で高い単価をとる対面授業をする塾
の3つに分かれていくだろう。

どこを目指していくか、経営者の手腕が問われる事態になろう」

 

教育支援システムの変化と進化が加速する・・・

新型コロナ感染は長期戦になるが、教育支援システムは、すでにライブの補助的なシステムではなく、それに取って代わる存在になりつつある。全国的に学校現場ではオンライン授業がスムーズに出来る環境ではない。かといって、塾や予備校が完全とは言い切れない。

これから数年間は試行錯誤が続く時代となる。通信インフラが成熟した現在、教育コンテンツやシステムなどの変化と進化が加速していく時代なのである。

このような状況の中、改めて対面指導の大切さを再認識する人も多い。デジタルとアナログのバランスが大事だと考える人もいる。

様々な実験と試行錯誤を経て、新たな教育が再構築されていく・・・。