【森上 展安】コロナショックはどのように起きるか2020年、首都圏中学入試状況速報(その2)

やっとリーマンショック前まで持ち直した中学受験状況だが、たちまちコロナショックが起こり脅威は日に日に増している。入試報告第二弾はリーマンショック後の経過を振り返りながらコロナショックが起きればどうなるかを考えたい。

年々縮小していく09年から始まったリーマンショックは一度に減少したのではなく、09年から1年また1年と2~3%ずつ前年減の受験者数になっていった。新型コロナウイルスによるショックも同様の経過を辿ることが予想される。

それは中学受験のスタート時期は小4が多いため、「途中下車」(受験を小5、小6で中止する)がしづらいということが背景にあるためだ。すなわち、小6で中止というより小6から参入する受験生が当然ながら少なくなる。小5は時期にもよるが、連休明けにもまだコロナウイルスが猛威をふるっていれば中止の判断に傾く受験生はそれなりにいるだろう。小4となるとスタートしたかどうかの時期だけにもう少し様子をみる受験生が多くなる。ただ、リーマンショックは経済的なダメージによる中断だが、コロナショックもそこは同じにしても、さらにダメージが大きいのは通塾の中断のため、学習継続自体が不安視される事情が加わる。そこはリーマンショック以上の減少も考えられる。

 

地域的には東京が減少大?

リーマンショックでは埼玉・神奈川・千葉の減少は少なく、東京の減少が最大だった。何といっても学校は近隣商圏で、長時間の通学に耐えるのはユニークな学校に限られる。高校で言えば日比谷であり、中学で言えば開成、筑駒、桜蔭となるように(ただし、筑駒、桜蔭は地域、通学時間なども制限がある)、難関大学合格に抜群の実力がある、という意味でユニークだといえるような学校は遠くからでも通う。しかし通常は40分前後が相場だろう。

しかしリーマンショックの時は就学支援金がなかった。今年東京の私立中学は上位も中下位校も大幅に受験者数が伸びた。これは筆者のみるところ、高校から支給されることになっている就学支援金の年収制限が760万台から910万円未満に対象が拡大されたことが極めて大きいと考えている。

910万円未満とこれまでの760万円未満の違いは、率直にいえば700万台の壁を超えてそのものズバリの中学受験層にアピールしたものだ、ということだ。もちろん、支給されるのは高校からの授業料のみだが、それがゼロになる(但し平均額まで)ことはやはり大きい。従来の760万円未満なら中学受験層の多くいる800~900万世帯は支給対象に含まれなかった。910万円未満までなら中学受験のストライクゾーンだから、東京の私立に行けば高校3年間の授業料がゼロになる(前記留保付き)。

残念ながら神奈川・埼玉・千葉では現状ではそのような予定はない。東京の私学に通えばそれが可能になるのだから、大変なインセンティブだ。その意味で、リーマンショック時と大きく異なり、東京のみ減少せず、埼玉・千葉・神奈川が人口減もあって減少する可能性も少なくないと言えよう。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

(株)森上教育研究所 所長


1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。

中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。

中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。

著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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