編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

私塾のトップに聞く:清水 貫代表 【誉田進学塾グループ】 千葉県

【誉田進学塾グループ】究極の危機管理 同業他社との情報の共有に感謝

のびしろのある人材が欲しい

千葉 人材の確保と育成について教えてください。

清水 人を教える教育という仕事をしている関係上、やはり入社してから育てるのが本道だと思います。その意味で即戦力でなくても良いと考えています。自分たちに都合の良い即戦力だけ採り、使えないと切り捨てるのはそもそも「教育」というもの自体の否定ではないかと思うのです。つまり、育てれば伸びる可能性がある人、のびしろのある人材が欲しいと思っています。現在の採用状況は民間教育業界全体に対しての逆風なので、あえて新卒採用は積極的には行っていません。転職のキャリア採用に重心を置き、教育に熱意のある方であれば積極的に採用しています。

千葉 女子社員の待遇的なものは如何でしょうか?

清水 産休や育休の制度も整備しているので、利用者が増えています。早く復帰し、そしてスムーズに働けるよう、労働時間帯のシフト制度も用意しています。また、障害者雇用にも積極的に取り組んでいます。

千葉 塾の卒業生たちが戻ってきて働きたいというケースもあるのでしょうね。

清水 小学校3年生の終わりから入塾して9年通塾し、大学生ではチューターとして4年働くと合計13年、つまりそれまでの人生の半分以上を誉田進学塾に関わったという卒塾生が一度就職してから戻ってきて、勤めているケースもあります。やはり教わった先生の影響が大きいのでしょうね。働き方改革だけでなく、生徒に良い影響を与えられる先生の確保と育成を図りたいですね。

 

台風も新型コロナウイルスも予想を超えるダメージ

千葉 今回の「新型コロナ感染」の対策について教えてください。これ以上の危機が訪れたらどうしますか?たとえば大地震や大型台風など・・・

清水 これが掲載される頃にどのような状況になっているか分かりませんが、取材を受けた3月10日現在、まだまだ出口が見えません。新型コロナウイルスの感染予防では、全国の塾関係者の皆さんとの情報交換で色々なアドバイスをいただきとても役立っています。また、公益社団法人全国学習塾協会の安藤大作会長(兼学習塾連絡協議会幹事長)をはじめ、役員や関係者の皆様には、個々の塾の損得を超えて、協会全体のために、ご尽力いただいていると感謝しています。

千葉 千葉県では、昨年の大型台風がいくつか直撃して各地で被害が出ましたね?

清水 南房総エリアはかなり甚大な被害を受けましたが、うちのすぐ近くでも大きく報道された崖崩れや竜巻が発生して甚大な被害がありました。幸い当塾の校舎はぎりぎり直撃は免れましたが、屋根のズレなどで雨漏りしたのが2か所、テナントの校舎で上の階が水漏れしたのが1か所、テナントの校舎で外の天井が落ちたのが1か所、道路の冠水と停電で3日休校したのが2か所でした。

様々なケースを想定して必要な備蓄や対策、そして避難訓練などもしていましたが、想定を超える暴風雨と被害だったので、ちょっと甘く見ていたところがあるのではと、反省して今後に備えたいと思っています。

 

同業他社とのネットワークで情報共有できる業界でありたい!!

千葉 これからの個人的な夢と企業のトップとしての目標を教えてください。

清水 :いま考えているのは、民間教育の使命と意義を意識すべきだということです。保護者や生徒本人が受けたいと思う教育を、自由に自分で選べることが民間教育の優れた点です。たとえば囲碁将棋やピアノ、そしてスイミングスクールなどでは、プロを目指す生徒もいれば、高い水準ではなく教養として、情操教育として習い事を求める生徒もいます。これらの習い事では、そのそれぞれが求めるレベルに合わせた指導を希望で選ぶことが比較的容易ではないかと考えます。塾・予備校も、それぞれの多様なニーズに合わせた、それぞれの理想で最適な指導を選べることが大切だと思います。

そのために、人の採用でも、採る側の論理ではなく、本人が夢を抱いて働きたくなるような環境ができれば、もっと素晴らしい人材が業界に集まってくるのではないでしょうか?民間教育には大きな魅力があると確信しています。この民間教育の業界が、若い意欲を持った人たちが飛び込んでくる業界に成長することを願っています。そのために私たちも微力ながら全力で努力します。

千葉 危機管理としても、もっと業界全体の情報交換が必要ですよね。

清水 :まずはもっと多くの塾が協会に入って盛り立ててほしいですし、異業種との情報交換や勉強会だけでなく、同業他社とのネットワークで情報共有をすべきだと思います。特に今回の騒ぎでそれを痛感しています。

個々の利害を超えて、業界全体が社会から正しく評価されるように襟を正して成長するためにもネットワークが重要だと思います。一匹狼のような独自の志を否定するわけではありませんが。それぞれの独自の思いと熱意を互いに尊重しながら、それプラス情報共有で新たな力を生み出す、そういうネットワークがあってほしいと考えます。

最後に、このような厳しい環境で多忙な中、皆様から沢山のアドバイスをいただけたことをこの場を借りて感謝いたします。ありがとうございました。

(2020年3月10日、千葉県千葉市緑区の誉田進学塾おゆみ野駅前校で取材)

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