【大村 伸介】コミュニケーションの本質

『この記事を皆さんがお読みになっているのは4月の中頃、コロナウイルスの休校措置も解かれ、各地で入学式や始業式が滞りなく行われておりますことを祈りながら執筆しております。』と先月号では書かせていただきましたが、この記事を書いております4月10日までに、東京をはじめとする7都府県に緊急事態宣言が出されました。学校はもちろんのこと、教育産業でも休校措置を講じられておられるかと思います。それ以外の地域の皆様も、何らかの影響は少なからず受けておられることでしょう。

その影響もあり、先月号で触れましたようなICTを活用した取り組みが全国的に進んでいます。対面ではないコミュニケーションが増えていくことが予想されますが、その本質は変わりません。今号はコミュニケーションの本質についてお話しします。慣れない環境でのコミュニケーションの一助になることを祈りながら…。

 

引き出す教育=教育コーチング

「教育コーチング」とはそもそも何なのかからお伝えしていきましょう。

「傾聴・質問・承認等の各技法を用いて、クライアント(相手)のやる気や能力を引き出し、自立を支援するメソッド」です。クライアントを「持たざる者」「できない者」として「与える」のではなく、「持っている者」「できる者」として関わり「引き出す」のです。

それを支える土台として、
「人は育とうとする生き物だ」
「人は自分の中に答えを持っている」
「人はそれぞれ」
という信念があります。これは、教育コーチが、クライアントの存在をどう見るかという認知(認識)法を示しています。認知の仕方が、そのものとの関わり方を決めます。そして、関わった通りに相手は表れてきます。

例えば、次の絵を見てください。

これは何に見えますか?
「椅子にしか見えない!」
そんな方は「座る」という関わり方をされます。ところが、私の長男にこの絵を見せますと、まだ幼いものですので、椅子ということ以外に「机にもなる」と答えます。そうすると、「座る」という関わり方以外に「ものを書く」という関わり方が増えました。認知(認識)を広げることは、可能性と選択肢を広げることにもつながっています。

 

やる気のない赤ちゃんはいない

栗の実は、芽を出せと命じなくても芽を出し、育てようとしなくても育っていきます。人も同じ。育とうとしない人はいない。

「やる気のない赤ちゃんを見たことがありますか?」
保護者講演会や教職員研修などの機会に私はよくこの質問をします。皆さんの答えはもちろん全員の方が「見たことがない。」
当然です。だって、この世に生を受けて、育とうと一生懸命なのですから。

では年月が経ち、目の前のお子さん、生徒が『やる気のない生き物』に映るのはどうしてか、これには見る側の認知(認識)が大きく関係しています。
これが「人は育とうとする生き物だ」です。

栗の実は、地面に落ちて日の光と水分さえあれば、芽を出し、幹を太らせ、枝葉を伸ばし、花をつけます。小さな栗の実の中には、育っていくために必要な情報がすべて入っています。人も同じ。必要なのは愛情という日の光と、信頼という水分だけ。
これが「人は自分の中に答えを持っている」です。

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大村 伸介(おおむら しんすけ)

株式会社成基総研 コーチング室 室長


集団指導塾を経て、2004年株式会社成基入社。

教室長、エリアマネージャー、本部長補佐、副本部長を歴任。

現在は、教育コーチング、パパママコーチングセミナーのトップ講師として教職員研修、保護者講演会等で全国を飛び回る。

日本青少年育成協会認定上級教育コーチ・認定A級トレーナー、主任研究員。

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