編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

【私塾REAL】特別版 日中交流の懸け橋、鑑真和上 そしていま「山川異域 風月同天」

中国のSNSで30万「いいね!」

千葉 今回、中国への支援物資の段ボールに「山川異域、風月同天」と書いて送られましたがその意味、「いわれ」は?

林 今から1300年程前、長屋王の時代に、当時先進国であった唐(中国)に戒律を授けられる高僧を派遣して欲しいという願いで、「山川異域風月同天寄諸仏子共結来縁」と刺繍した千枚の袈裟を遣唐使に託して贈り、それに心を動かされた鑑真和上が度重なる苦難を乗り越え、盲目になりながらも来日して律宗や戒律を伝えた、とされています。直接的な意味は「山川(国・場所)は異なっても、風も月も同じ天にあるではないですか。同じ仏教を信じる人間として、一緒に仏教を興隆させる縁を結ばせてください」ということになるかと思います。

千葉 日本と中国は、近くて遠い国と言われていますが、同じ漢字文化がありますよね。

林 まさしく!!ご覧の通り、この漢詩は非常に簡単な漢字で構成されています。時代が違っても、幅広い層に理解され易いものだと思います。当時の唐(中国)河南の最高の高僧が日本との懸け橋になったことは、誰でも知っていることでもあり、それを想起させる漢詩が多くの人々の心の琴線に触れたのではないでしょうか。反応なんて、全く予想もしていませんでした。SNSで「いいね!」が30万とか、以降、中国、日本のメディアから30近い取材を受けたり、私自身が一番驚きました。日本と中国の間には残念な歴史もありますが、「美しい歴史」を多くの方に思い出していただけたことは、ウイルス災害の最中ではありますが、大変嬉しいことです。

千葉 日本人として漢詩について何かしら理解力があるのは必要なことですね?特に隣国の中国ときちんとお付き合いするためには。

林 まあ、何かのため…というより、「古典」は「一般教養(リベラルアーツ)」として大切なものであり、だから、日本でも中学3年で漢文を教えますよね。今回、私も含めて「日本と中国は同じ漢字文化圏である」ということを再認識した方が良いと思います。「漢字」は日本にとって「国語」ですよね。韓国はハングルになっていますが、中国とは漢字でコミュニケーションができますよね。

千葉 漢文は苦手でしたが、もう一度勉強してみたくなりました(笑)。

 

夏のインバウンド企画を策定中

千葉 コロナ騒ぎで、留学支援や国際交流について厳しい時期が続きますが、最近の活動とこれからの活動について教えてください。

林 会議等はテレワークでもITの発達によってそれほど不便も感じません。しかし、実際、具体的な日中交流は難しいわけです。ただ、すでに夏のインバウンドの企画等も中国と打ち合わせ中です。ポストコロナを意識して仕事をしています。例えば、当協会の推薦状があれば学費・生活費も含めた孔子学院總部からの奨学金の応募ができます。今回の支援物資に対してはその孔子学院總部からも感謝状が届きました。

 

プログラムの復活が最優先課題

千葉 コロナ騒ぎでの苦境を「世界one team」で乗り切りたいですね。騒ぎが一段落して、一番取り組んでみたいことはありますか?

林 やはり国際交流のプログラムを復活させたいということに尽きます。今、入国制限の国も増えつつあります。このままだと留学・国際交流を実施する団体の存続自体が厳しいものになってしまいます。早期の収束を祈るばかりです。

(2020年3月17日、東京・神楽坂の日青協にて取材)

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