【森上 展安】中学受験の入試をどうすべきか

オンライン入試

ペーパーテストでは測りにくい選抜をすることは、中等教育の三年間が非認知能力を豊かにする期間だということを考えるとき、選抜も面談で構成することは意義がある。

できれば面談の評価基準を明確にして、また事前に提出する資料(動画など)も吟味できるようにして、できれば秋の相談会などで模擬面接などができることが望ましい。ただ一度にできる面談となるグループ面談にしなくては受験生が多い場合はとても対応できないだろう。

ともあれ文科省のこの要請は妥当なだけにどのような「工夫」が見られるか注目したい。

 

9月入学でもWithコロナ

さて、こうした文科省の要請は勿論コロナ感染対策から出てきたものだが、にわかに政権から提起された9月入学が実現すれば、この要請は宙に浮くかといわれれば判断は難しい。

勿論今回の要請のうち、出題範囲の増減については当然その必要はなくなるので、そこは議論の余地はないし、作問側としても当然ながら従来と同じ方針で出題できるに越したことはない。

しかし一方で、Withコロナといわれるようにポストコロナはコロナと共生していく道を探らなくてはならないとされている。

つまりたとえ9月入学となっても入試が6月~7月になろうとも出題範囲以外の今回の文科省の要請は、相当部分妥当と思われる。

ただ9月入学が実現したその初年度は通常より長く在校することになるため、率直にいって2月に予定していた入試をそのまま6月~7月に実施したというのでは余りに受験生に必要以上の習熟を強いることに繋がらないかという懸念がある。

いわば入試対策期間が3ヶ月延長されるわけで相当に長い。本来なら英語などは殊に一日も早く中学内容に接続して学習を続けるべきだろう。

その意味では、例えば英語に限らないが、小学校と中学校の接続を意識した入学者選抜の要素を工夫してほしいところだ。例えば4月~6月の延長の期間は、小学校に在籍したままであっても小中連携して、接続カリキュラムを学べるように系列校などなら試みられて然るべきだろう。

同様に、非系列校同士であっても小学生向け遠隔講義を用意して中学のプログラムを紹介するとか、あるいは放課後にそのような遠隔授業を個人として受講することで、その学校の授業の様子がよく分かり、受験生と受け入れ校とのマッチングがよりうまくいくに違いない。またそのような下地があればオンライン入試をやったとしても相互に様子が分かっていることから不正などの心配もないだろう。

9月入学は大きなテーマではあるが、こと入試に関してはいずれにせよ入試があり続けるわけで、Withコロナでどのように実施できるかという、そこが大事である。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

(株)森上教育研究所 所長


1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。

中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。

中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。

著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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