編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

私塾のトップに聞く:三輪 宏 取締役塾長 丸本 和博 執行役員 【野田塾】 愛知県

【野田塾】先を読みつつ迅速な対応で、家庭との信頼関係を維持

愛知県の名門野田塾は、模擬授業大会を毎年主催していることでも有名だが、「nPad」によるデジタル化導入など先進的な試みでも注目されている。
その野田塾が今回の新型コロナウイルスの感染拡大で、どのような対応をしたか三輪宏取締役塾長と丸本和博執行役員に取材した。

三輪 宏 取締役塾長

JJAのガイドラインをもとに独自の感染症対策規程を作成

千葉 今回の新型コロナウイルスの感染拡大への対応について、独自のガイドラインを設定されましたか?

三輪 弊社独自と言えるようなものではありませんが、全国学習塾協会(JJA)が策定されたガイドラインを参考に、弊社での感染症対策規程を作成しました。

 

「学校が休みでも塾の授業はやってほしい」が保護者の本音?

千葉 新型コロナウイルスの感染拡大と、その対策への生徒や保護者の反応はどうでしたか?

三輪 2月の末に、全国の学校に春休みまでの休校が要請されたのに伴い、弊社でも対面授業を取りやめ、動画配信の授業に切り替えました。当初は、保護者の方からは、感染症を心配するような声はあまり聞かれませんでした。中には、「学校が休みでも塾の授業はやってほしい」とおっしゃる保護者の方もいらっしゃいました。

2週間ほど動画配信で対応をした後、弊社では3月中旬に、対面授業を再開しました。そのころは、感染症が少しずつ広がりを見せており、弊社では感染症対策の規程を作成し、予防策を徹底しました。弊社の対策規程は、マスク着用や消毒の徹底など、他社様も普通に取り組んでいらっしゃるような内容でしたが、保護者の方に塾の安全性をお伝えすることができたと考えています。保護者の方の中には、感染症に対する不安をお持ちの方もいらっしゃいましたが、学習の遅れを心配される方も多く、対面授業の再開を歓迎していただいたように思います。

首都圏に緊急事態宣言が出されたころには、遅かれ早かれ、愛知県にも宣言が出されることが予想できたため、Zoomを使ったオンライン授業に切り替えることを決めました。弊社ではもともとタブレットを使った指導をしておりましたので、大きな混乱もなく切り替えられました。さすがに、保護者の方からも対面にこだわるような声は聞かれなくなり、むしろオンラインの方が安心だという声が多かったように思います。

ただし、オンライン授業を始めてしばらく経った時点で、保護者の方からのご意見をお聞きしたところ、オンラインはありがたいが、自分の子どもの理解度を、以前と同じレベルで見てもらえているかという点に不安を感じられている方が目立ちました。確かに、生徒の表情を見ながら授業をすることはできても、問題を解いているときの手の動きまでは見ることができません。チェックテストを実施しても、生徒個々に声掛けをすることも、オンライン授業では難しくなっています。

現在は、緊急事態宣言も解除され、対面授業を再開しています。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の第二波の影響で、再びオンライン授業を行うような事態になっても対応できるように、この問題の解決策を探っていかなければならないと考えています。

 

Zoomによるオンライン授業の導入と改善で学びの定着

丸本 和博 執行役員

千葉 今回の対策で新たに導入したものはありますか?

三輪 前述の通り、Zoomを使ったオンライン授業を導入しました。詳細は担当の丸本からご説明します。

丸本 Zoomを使ってのオンライン授業について次の2点で回答いたします。

1.生徒の反応
生徒は、Zoomでのオンライン授業が新鮮だったこともあり、最初の段階から問題なくスムーズに授業を受けてくれていました。ただ、家庭でのWi-Fi環境の状況により通信が切れるなどうまくいかなかった生徒も若干いましたが、家庭の協力もありすぐに対応できるようになりました。

2.教師の使い勝手と工夫
画質や音質がよくないという問題があったため、WEBカメラやヘッドセットマイクを用意して改善しました。また、いつもの対面授業以上に、1つの説明は短く区切る、説明ばかりで生徒が飽きないように演習を適宜入れる、聞き逃しのないよう重要なポイントは3回繰り返す、いつも以上にこまめに発問するようにして生徒の理解度を確認するなど、授業の組み立てや説明の仕方を変えるなど工夫して対応していきました。

千葉 丸本さん、オンライン授業において、今後改善や工夫をすべき点はどのようなものがあるでしょうか?

丸本 オンライン授業での一番の難点は、生徒の理解度を確実に把握することです。やはり対面授業と同様の効果を得るためには、理解度を随時把握して個別にフォローする仕組みを作る必要があります。

また、生徒個々とのコミュニケーションなど、授業以外の生徒との接点を増やす必要も感じました。

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