【大村 伸介】21世紀型人財の育成

この記事がお手元に届くころには、もう多くの学校が短い夏休み終え、新学期を迎えられたことと思います。新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言下での休校措置により、ほとんどの学校で夏休みの短縮が行われ、また通常であれば部活動に勤しむ生徒諸君の晴れ舞台である大会やコンクールの類がほとんど中止になり、例年とは違う夏となりました。

学習塾の皆様も学校の夏休み短縮に伴い、例年とは違う夏期講習会が展開され、特にお盆期間を中心に行われている合宿の類も、今年は見合わせ、『通い合宿』なるものにシフトされたと聞いております。

人が集まりやすく、3密が形成されやすいとのことから、多くの海水浴場では海開きを行わず、プールなども営業自粛が目立っており、本当に『コロナ禍』以前の日常というのは、遠い昔のことのように思えてきました。

 

正解のない世界

緊急事態宣言が解かれ、感染者数も減じておりました新型コロナウイルス感染症ですが、再び増加に転じ、各地で感染者数最高値を更新し続けております。そんな中、東京都を除外した形での『GOTOキャンペーン』が政府主導のもと展開されております。是か否か、様々な議論があるわけですが、いずれにしましても、思うことは、正解のない世界になってきたということです。

20世紀の教育、それはどちらかといえば情報処理力に重きが置かれていた『TIMSS型学力』であったと言えます。指導の中心は、正解・正解の出し方を詰め込むことが第一義とされ、生徒は記憶学習・反復学習に勤しみました。もちろん、そのことを否定するつもりはありません。時代の背景として、20世紀は成長社会であり、周りとの一様さが求められていたわけですから。

しかし、21世紀になり、技術革新も猛烈な勢いで成し遂げられ、情報処理力の担い手は人ではなくなりました。そこで声高に、そして日本にとってはいささか唐突に、情報編集力に重きを置く『PISA型学力』が叫ばれ始めたわけです。複眼思考をもってして、情報を組み合わせて最適解・納得解を創り出すわけです。それに則る形で学習指導要領の改訂、大学入試の改革など、明治以来の様々な大改革の波が教育にも押し寄せていたことはご承知の通りです。

今年度に入ってからの『コロナ渦』により、より鮮明に最適解・納得解を創り出す必要に、政府だけではなく、全国民が迫られていることを感じています。

いままでは、この教育における大改革の波に対して、懐疑的な先生も少なからずおられました。

それはやむを得ないことだと思います。社会の変化が猛烈なスピードであるのに対し、身の回りを顧みれば、そこまでの変化が押し寄せていない、いわば直面されていなかったということですね。

ところが、今回の『コロナ渦』はわけが違います。社会の仕組みや働き方、そして身の回りで起こっている出来事…これは、直面せざるを得ないはずです。それは、大人である私たちもそうですが、子どもたちにとっても同様でしょう。時差登校、オンライン授業、オンライン文化祭…。とりわけマスクの着用はもはや義務を通り超えて、そして老若男女問わず、ある種の習慣として私たちの生活に根付き始めています。一年前、こんな生活は誰しもが予測し得なかったわけです。

正解のない、そして予測不可能な時代が来るとは21世紀に入る少し前から言われ始めていました。そして実感のないまま、一部の人たちによる教育を含めた様々な改革が実行されていったわけですが、この『コロナ渦』によって、本当に、そして急速に、正解のない、予測不可能な時代がやってきたわけです。

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大村 伸介(おおむら しんすけ)

株式会社成基総研 コーチング室 室長


集団指導塾を経て、2004年株式会社成基入社。

教室長、エリアマネージャー、本部長補佐、副本部長を歴任。

現在は、教育コーチング、パパママコーチングセミナーのトップ講師として教職員研修、保護者講演会等で全国を飛び回る。

日本青少年育成協会認定上級教育コーチ・認定A級トレーナー、主任研究員。

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