学びとゲーミフィケーション#01~今なぜ、ゲーミフィケーションが必要なのか?~
ゲームと授業の違い
「生徒たちは、どうしてあれほどゲームに夢中になるのでしょうか?」
「生徒たちの中には、どうして授業に集中しない子がいるのでしょうか?」
もちろん全員がそうではありませんが。
こんにちは、ゲーミフィケーション賢者Lv98の岸本 好弘(きっしー)です。
一般社団法人 日本ゲーミフィケーション協会の代表賢者も務めています。
「ゲーミフィケーション」とは、ゲーム要素を用いて、世の中のツマラナイものをワクワクするものに変えて、人を楽しく能動的に行動させる仕掛けのことです。
私自身は、大学卒業後、ゲームクリエイターとして30年弱、ゲームを面白くする仕事に係わってきました。なので、一番目の問いにはある程度答えられます。
その後は、大学で6年間特任准教授を務め、今も高校1年生と大学生を非常勤で教えています。なので、二番目の問いにもあれこれと方策を取ってきました。もちろん経験豊富な皆さんにはかないませんが。
ワクワクする3つの言葉
まず3つの言葉を聞いてください。《能動的な参加》《達成可能な目標設定》《称賛の演出》です。
次にその反対語です。
《強制的な参加》《達成不可能な目標設定》《ダメ出しの演出》です。
《能動的な参加》と《強制的な参加》
《達成可能な目標設定》と《達成不可能な目標設定》
《称賛の演出》と《ダメ出しの演出》
この3つの組合せを聞いて、皆さんはどちらをやってみたいと思いますか?どちらはやりたくないと思いますか?
大抵の方は、《能動的な参加》《達成可能な目標設定》《称賛の演出》を選んだのではないでしょうか。
逆に、《強制的な参加》《達成不可能な目標設定》《ダメ出しの演出》にはちょっと嫌な気分なったのでないでしょうか。
ツマラナイをワクワクにする
最初の問いに戻ります。
「生徒たちは、どうしてあれほどゲームに夢中になるのでしょうか?」
端的に答えると、《能動的な参加》《達成可能な目標設定》《称賛の演出》が入っているからです。
「生徒たちの中には、どうして授業に集中できない子がいるのでしょうか?」
一部の授業には、《強制的な参加》《達成不可能な目標設定》《ダメ出しの演出》が入っているからです。
ここも決めつけ風に書きましたが、もちろんそうでない部分もあります。
ならば、授業の中の《強制的な参加》《達成不可能な目標設定》《ダメ出しの演出》を、《能動的な参加》《達成可能な目標設定》《称賛の演出》に変える仕掛けを考えれば、授業はもっと楽しく集中できるものになるのではないでしょうか。ツマラナイをワクワクに変える仕掛けです。
ここも補足しますが、娯楽を目的としているゲームに対して、教育を目的としている授業が面白さで並ぶことはかなり困難です。しかし、授業を生徒がよりワクワク能動的になるものに変えるのは、もしかしたら可能ではないでしょうか。
そして、この《能動的な参加》《達成可能な目標設定》《称賛の演出》が、私が提唱しているゲーミフィケーション6要素の内の、初めの3つです。
※残りの3つは《即時フィードバック》《成長の可視化》《独自性の歓迎》
ゲームから学べることがあります。どうやって学びを促進するかという視点でゲームを考えてみませんか?
そしてゲームを面白くしているゲーム要素を、学びの場に活用することが、学びのゲーミフィケーションです。
今日のまとめです。
・「ゲーミフィケーション」とは、ゲーム要素を用いて、世の中のツマラナイものをワクワクするものに変えて、人を楽しく能動的に行動させる仕掛け
・ワクワクさせる仕掛け3つ《能動的な参加》《達成可能な目標設定》《称賛の演出》
・ゲームからワクワクする仕掛けを学ぼう
ご興味あれば、次回(第2回)「ゲームのワクワクする仕掛けとは?」をお読みください。
著者:きっしー(岸本 好弘) 30年間弱にわたりナムコ、コーエーでゲームクリエイター。「ファミスタの父」と呼ばれる。6年間、東京工科大学メディア学部でゲームデザイン・ゲーミフィケーションを教える。2019年に一般社団法人 日本ゲーミフィケーション協会 代表賢者Lv98に就任、現在に至る。当協会では毎月ゲーミフィケーション講座を開催、詳細は下記に。 https://www.jgamifa.jp/activities |