編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

私塾のトップに聞く:永井 博 代表取締役社長【個別指導学院フリーステップ、 開成教育セミナーほか】 大阪府

【個別指導学院フリーステップ、開成教育セミナーほか】世界で活躍できる人材の育成と豊かで平和な社会づくりに貢献したい

2008年8月、ジャスダック証券取引所(現東京証券取引所JASDAQ市場)に株式上場した株式会社成学社は、2018年に創業者太田明弘氏が代表取締役会長となり、その愛弟子である永井博氏の代表取締役社長就任後も順調にグループ企業の運営を続けている。

昨年からのコロナ禍の影響を受け、業界全体が厳しい経営環境にあるなかで、関西有数の規模に裏付けされる信頼度は高く、アフターコロナを見据えて力を矯めている。現状の課題と今後の方向性を中心に、永井博社長に取材した。

太田会長

永井社長

創業から39年、幅広い総合教育企業に成長

千葉 HPで沿革を拝見しましたが、1982年の創業ですね。

現在の規模について、正社員数・展開地域と教室数・生徒数・対象学年などを教えてください。

永井 はい、創業者である太田明弘(おおた・あきひろ)現会長が、個人塾として創業したのが1982年の6月です。5年後の1987年に法人化しました。

創業から39年、現在の正社員数は700名を超え、アルバイト講師数は約5000名になります。教室は、関東と関西中心で直営校の約280教室に加えてFC校が30教室以上あります。対象学年は小学生から高卒生までです。

生徒数はコロナの影響で少し減ってしまいましたが、昨年11月の段階で約24,500名です。今後、学習塾教室の新規開校は関東を中心に進める予定です。

学習塾以外の事業については、2015年に保育事業に参入し現在17か所の保育園を運営しています。2017年には、我が国の国際化に対応するためにアジアからの留学生を対象とする日本語学校の事業にも参入しました。学習塾のマーケットが縮小するとは思っていないのですが、社会の変化に会社として対応することが大切だと考えています。

千葉 売上と経常利益などについて教えてください。

永井 弊社としては、創業以来、決算が減収になったことはありませんでした。利益面は多少の増減はあっても赤字決算になったことは一度も無かったのですが、昨年春の募集時期に従来のような新規入会者を得ることができませんでした。

そのため今期(2021年3月期)は新型コロナの影響で初めて売上減となり、赤字の予想となっています。私としても創業から初めてのことで残念な思いはありますが、昨年の夏期募集以降はその分を取り戻してきており、今後コロナ関連の急激な状況変化がなければ今年の4月以降はコロナ禍前の状況になるものと予想しています。

 

リモートのZoomも活用した柔軟な指導システム

千葉 昨年からコロナ禍の中で、リアルとリモート(オンライン)の二刀流が続いていると思いますが、その影響として大きいものは何でしょうか?

永井 オンライン授業の活用についての影響としては機材の費用や教室の手間がかかる心配がありましたが、急速な社会の通信インフラや家庭の通信環境の向上などもあり、大きな問題はありません。

千葉 御社のオンライン授業のシステムについて教えてください。

永井 弊社の集団指導では「開成2WAY」と名付けたシステムの中でオンライン指導ではZoomを使っています。登塾して生徒が受けるいつもの授業に家から参加できるシステムで、授業をリアルタイムで配信しています。

クラスと個別併設の旭丘教室

千葉 いつも通塾しているクラスの授業に通塾もできるし在宅のオンラインでも受講できるのが「開成2WAY」のシステムなのですね。

永井 はい。そうです。また、授業以外の面でコロナ禍による予想外のプラスもありました。弊社はもともと進路情報の提供や講師研修を強みにしていたのですが、これらをオンライン化したことで対面の時よりも参加率が高くなり、その後の評価も高かったのです。皮肉なことに、コロナ禍になってみないと分からないことだったのですが、これで弊社の強みをさらに磨くことができるのではないかと考えています。

千葉 コロナ禍ですべてがマイナスというわけではなかったのですね。今後の事業展開の方向性について教えてください。

永井 コロナ禍の中でグループの事業経営を停滞させることなく、それぞれの部門をさらに深く掘り下げて、技術・データ・ノウハウを獲得するとともに、専門部門間を結びつけることで、単体では得られなかったシナジー効果を上げたいと思っています。そして、この方向性が多方面に事業を展開している総合教育企業の強みを活かす道だと思っています。

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