編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

私塾のトップに聞く:森 隆行 代表取締役社長【Exceed】 香港

【Exceed】生まれ変わっても教育の仕事がしたい!!

1997年に英国から中国に返還され、ほぼ四半世紀が経とうとしている香港。時に騒然としている香港で、20年近くにわたり、帰国子女とインター生を指導してきた塾がある。今回、新規オーナーに就任した森隆行社長に、Zoomによるリモート取材が実現した。
香港での教育の実情だけでなく、コロナの影響、そして返還後の生活の変化などを問いつつ、香港から見た日本についても聞いた。

森社長

16名のスタッフで香港島と九龍地区で4校運営

千葉 香港Exceedの簡単な沿革について教えてください。

森 設立は2004年4月です。香港島の太古校がスタートでした。2005年4月に2教室目の九龍地区のホンハム校、2006年4月にコーズウェイベイ校を開校し3教室となりました。
それから少し間があいて、2011年4月に九龍校とデリア校を開校しましたが、太古地区の教室が隣接していたため、1つに吸収されています。
2011年は他塾の営業権譲渡で2校を増やしたのですが、教室分散を避けて統廃合したという形になります。

千葉 スタッフは日本人だけではないですね?また平均年齢はどれくらいでしょうか?

森 現在スタッフは16名いまして講師は13名、ローカルは4名でそのうち1名は英会話の講師です。女性スタッフは3名で平均年齢としては30代後半だと思います。

千葉 生徒は帰国子女が中心ですか?

森 私が着任した2005年当時の割合では、帰国子女8に対してインター生2と、圧倒的に帰国子女の生徒が多かったのですが、その後、徐々に変化して現在は帰国子女4に対し、インター生が6と比率が完全に逆転しています。
日本人の生徒自体が徐々に減っているのですが、日本から香港に赴任した父親の勤務が2~3年でも、その間に子どもに英語を学ばせて帰国したいと思う親が増えて、日本人学校ではなくインターナショナルスクールに通わせるケースが増加したことが背景にあるようです。

 

卒塾生が訪問、その笑顔が新たな活力に!!

千葉 これまでで最も厳しかったこと、最も嬉しかったことなど教えてください。

森 特にこれまで経営的に厳しかった経験はありませんが、あえて言うと今回のコロナ禍でしょうか。現在は感染者が日に1人出るか出ないかですが、昨年は感染対策への対応でかなり大変でした。
中国本土からの政策もあり、ワクチン接種が進み、ワクチン1回接種済みが全体の10%ちょっと、2回接種済みが全体の5%まできています。中国本土と同様に厳格に感染対策が動いており、海外から香港に戻ってきた香港居民ですら3週間ホテルで隔離されます。ワクチン接種2回済みであれば今後2週間自宅待機も可能になりそうです。中国本土との行き来はそれより少し緩いですね。皆さん疑心暗鬼がありますが、優遇措置という人参をぶら下げてワクチン接種を促進させ、感染防止を目指しているようです。
最も嬉しいことはやはり生徒たちが懐かしく思って先生や塾を訪ねて来てくれることです。その笑顔からまた新たな活力をもらえます。

 

多民族国家から学べることとは?

千葉 日本での教育と香港での教育で一番違うものは何でしょうか?また共通していることはどんなことでしょうか?

森 香港での教育熱は日本と同等もしくはそれ以上でしょうね。3~4歳から学研や公文をはじめ習い事に通わせていますし、個別系の学校外教育や家庭教師による指導も盛んです。香港は中国管轄ですが、元多民族国家なので物事を多面的角度から指導したり、より実用的な学びがあったりします。
たとえば、算数や数学では、中学で複利計算など税金の割合を計算したりします。教科書に掲載された所得税の項目で計算ができるので、親の給与の税金が分かったりするのです。文系とか理系に関係なく、生活の中の数字に敏感に反応できるようになるのが良いですね。
今年から早稲田大学政経学部の入試で数学が必須化しましたが、私から見るとそれで良いのではないかと思います。日本では私も抽象的に考えていましたが、香港では中学生から少しずつ税金や年金などについて具体的な計算をすることで、自分で考えて資金をどう使うか、どうしたら良いか判断できるようになるようです。

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