編集主幹のダーツの旅

本紙編集主幹 千葉 誠一(ちば せいいち)

本紙編集主幹の千葉誠一が地域ごとの私塾事情を探るため、ダーツが刺さった地域へ赴く新連載!各地域で活躍を続ける塾や、珍しい取り組みを行っている塾などに取材を敢行。ローカルな運営法の中に、塾で生かせるヒントがある!?

私塾のトップに聞く:森 隆行 代表取締役社長【Exceed】 香港

【Exceed】生まれ変わっても教育の仕事がしたい!!

帰国生としての強みを意識させる

千葉 香港から日本に帰国して受験や進学する生徒はどんなことに留意すべきでしょうか?

森 私たちとしては、帰国生の強みを意識して考えるようにしてもらっているつもりです。海外で暮らした利点として、語学だけでなく、日本をちゃんと見ることができる人間になってほしい。つまり良い面も悪い面も自分の経験値で理解してもらいたいということですね。日本の私学の帰国生も、おそらくそうした効果を期待して、留学への意識を高めたいということなのでしょう。

 

日本と香港の新型コロナウイルス感染症対策の決定的な違いとは?

千葉 新型コロナの影響でどのようなことが変わりましたか?また、香港から日本の対策を見てどう思われますか?

森 マスクや消毒、換気にソーシャルディスタンスなどやれることは全てやっていますが、個別指導形態なので感染リスクは低いと思います。香港では法律で公共の場でのマスク着用が義務づけられており、一時期マスクの価格が10倍前後まで上がりました。また、信頼性から日本、香港、中国製の順に売れていきます。
香港も半年前は日に20~30人の感染者がいたためか、飲食店はテイクアウトを除き18時で閉店する政策となりました。そういった政策が功を奏して2月中旬より感染者が一桁台となる日が徐々に増えて閉店時間が22時まで延ばされましたが、1卓あたり4名までの人数制限があり、18時以降店内に入る場合は追跡アプリか手書きの申請書を書かなければなりません。こうした徹底した対策により、感染者をゼロまで減らしたのです。

香港から日本を見ていると、ただ我慢させるだけでほとんど具体的な厳しい対策を取って感染者をゼロにしようとしていないと思われます。香港も当初は厳しすぎると思いましたが、それにより今は安心して生活できています。一度徹底した感染対策を講じないと同じことの繰り返しで、感染力の強い変異型ウィルスを抑え込むことはできないような気がします。

 

中国的教育の息苦しさとは?

千葉 香港はイギリス統治から中国に返還されて四半世紀が経とうとしていますが、人々の生活の基本は変わらないものの、治安や教育などの内容が少しずつ変化していると思います。香港で日本人が教育その他について気をつけるべきことがあれば教えてください。

森 海外からは、香港人も中国に同化して変わらないとみなされていますが、現地では「自分たちは中国人ではなく香港人だ」という意識があります。しかし、心ではそう思っても、デモに参加しているような一部の人たちしか口外していません。
民主化政策とは相反するその流れは深刻なのですが、逆らえない背景に中国資本の浸透があり、よほどの富裕層でなければ香港から台湾やカナダなどに出て行く事はできません。ある程度余裕のある親たちは、まず子どもたちに英国留学などをさせて、自分たちが反対している中国的な教育の息苦しさから逃れさせようとしています。選択肢の乏しい中国側の政策に反抗していると言えるでしょう。

 

『子どもたちに寄り添う教育』

千葉 今回新代表として就任されましたが、これからど
んな塾を目指したいですか?

森 私はこの仕事が好きで、生まれ変わっても生徒に何かを教える教育の仕事がしたいですね(笑)。生徒として14歳で前代表の山本氏に出会いましたが、私の原点であり香港Exceedの原点でもある「子どもに寄り添う教育」を目指して、その姿勢を基本的に大切にしていきたいということは、これからも変わりません。それをしっかりと踏まえつつ、日本から海外に来ている生徒たちが、語学力をはじめ基礎的な学力を身につけて、多面的に物事を考えられる人間に成長してほしい・・・正しくは私と共に成長してほしいということになります。
先生というのは先に生まれた者ですが、失敗も含めて自分の経験したことを次の世代に伝えて、生きる糧にしてほしいですね。算数と数学という教科指導を通して、子どもたちが将来力強く生きていくことができるようにしてあげたいと考えて仕事に取り組んでいます。

千葉 ありがとうございました。森さんとは、以前おられた会社の研修会や香港での懇親会などで何度もお会いしてきましたが、教育者として成長されている姿に感銘を受けました。これからは経営者としても成長して、香港Exceedの発展と生徒たちの成長に貢献されることを祈念しております。

(2021年4月30日、オンラインにて取材)

 

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