【大矢 純】主体性を引き出す授業構成

4月から続いている『主体性を引き出す』シリーズ。
先月は授業最初の話であるマクラについて伝えました。すでに知っていることから話を立ち上げて、今日のめあてに興味を向けていく。これに成功すれば、いよいよクラス全体を牽引して本題に入っていくことができます。

今月は本題に入ってから、先生方が考えに考えた説明や解説がしっかりと子どもたちに伝わり、子どもたちが主体性をもって授業に取り組むための効果的な授業構成についてお伝えします。

 

集中力の持続時間

教師も保護者も集中力が続かない子に対して「もっと集中しなさい」「すぐにあきちゃだめ」と言いがちです。集中力というのは好き嫌いによって大きく変わってきます。
すぐ授業で飽きてしまう子どもも、ゲームはいつまでもやっていたり、YouTubeはいつまでも見ていたりと、自分の好きなことには高い集中力を発揮したりします。これがそもそも人間の本来の姿です。

つまり、子どもの集中力が持続しないのは子どものせいだけではなく、興味が引き出せていなかったり、集中できる環境になっていなかったりということに原因がある場合が多いのです。
話の選定や組み立て、さらには話し方や巻き込み方に問題があって集中させられていないということです。

ということは、「あのクラスは集中力がないから・・・」
と言って諦めていた状態でも、実はまだまだ打つ手が残っているということです。
集中力自体を高めることを考えるのも悪くはないですが、集中力が高まるまでには莫大な時間がかかります。
それであれば、今の集中力でも最大限集中できる授業の構成を考えて実行していく方が得策ではないでしょうか。

さて、子どもの集中力はどのぐらい持続するのでしょうか?
10歳までは年齢プラス1分という説もありますが、小学生は10分、中高生で15分というのが標準的なところです。
皆さんが考えていたよりも短いのではないでしょうか?それなら自分のクラスはましな方だ、と思う方も多いかもしれません。

であれば、この短い「集中できる時間」をどう有効に使うか、そこに焦点を当てましょう。
ちなみに、『サザエさん』は一話完結30分で3本立てになっていますね。小学生の集中力を見抜いた構成になっているのです。

授業構成の工夫

集中力の持続時間の特性を活かして効果的な授業をするにはどのような構成を考えれば良いのでしょうか。
まずは3つのキーワードをご紹介します。

①セグメント

1つのものを区切った一部分ということですが、授業学では「1コマの授業をいくつかに分けたもの」と定義しています。

1本のカステラを丸ごと食べるのは難しいですが、切り分けると意外に食べ切れてしまいますよね。
授業もこれと同じような面があります。50分一本勝負では飽きてしまいますが、3つのセグメントに分けると集中力が続くものです。

例えばこんな感じです。
小学生の45分授業:
マクラ3分→10分のセグメントを4つ→まとめ2分
中高生の50分授業:
マクラ3分→15分のセグメントを3つ→まとめ2分
大学生の90分授業:
マクラ10分→25分のセグメントを3つ→まとめ5分

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大矢 純(おおや  じゅん)

授業学研究所 所長

株式会社授業学研究所代表取締役。1966年岐阜県生まれ、東京都育ち。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、生徒のやる気を引き出すノウハウを体系化した授業学を提唱。
2009年に授業学研究所を設立し、未来の日本を担う子どもたちのために、授 業学の確立と普及を行っている。
全国の教育委員会、日本私学教育研究所、東京・神奈川・兵庫などの私立中高協会や連合会を始め、各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行うなど、活躍の幅を広げ5月よりオンライン講座も開講している。

▼『大矢 純』の過去記事を読む

【2021/6月】主体性を引き出す話のはじめかた

【2021/5月】主体性を引き出す発問の方法

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