【森上 展安】共学校ニーズが突出/男子校上位シフト鮮明/女子校伸び悩み

女子校から共学校へのリニューアルが、学校改革のトレンドであるのは間違いないが、しかし実は7年間伸び続けているのは共学校ニーズで、実に男子校より5,000名、女子校より6,000名、受験者数が上回っていることが分析で明らかになった。
※ただし2月1日時点の受験者数(グラフ参照)

共学校受験者数は18,000名に

2021年の共学校受験者数はその2月1日についてみる限り、ついに18,000名に達した。
この数字は実に驚異的で、リーマンショック前の2009年入試においてちょうど14,000名だったから、すでにその規模を4,000名ほど上回っていることになる。

実は2月1日の受験者数全体で09年のリーマンショック前に戻ったのが昨年の2020年入試だったために筆者はうかつにも共学校ニーズがここまで達していることに気づいていなかった。
この度、校種別に必要があってグラフ化したところ、その共学校の伸びが早くも2017年に09年並みに戻っていたことが判明。
そればかりでなく、2017年からさらに4年続けて伸びていた!のである。
全体の規模ばかりに気を取られていたからそうなったのだが、この共学校ニーズの高まりは瞠目すべきことだ。

ではランク別にどのようなランクが増加したかと言えば、そのほとんどはHランクで、要は偏差値判定の外であるランク外で増加しており、わずかにC・Dランク(つまり偏差値50台)が5%程度増加に貢献しているのと、Gランク(つまり偏差値30台)が3割程度貢献しているが、要は最も入り易いランクで3,500名くらいの増加がみられ、これが寄与している。

共学校は層が厚くなりはしたものの、また、A・Bランク(つまり偏差値60台)に注目が集まりがちだが、最も注目度が弱い偏差値外の入試も受験者数が大幅に伸びていたわけであり、まさに盲点をつかれた思いがする。

 

男子校は11,000名台で推移

これに対して、男子校はどうか。09年(のリーマンショック前に受験勉強をして)私立中学に入学した皆様の受験者数は12,000名強。これに対してわずかに2020年入試で12,000名にいったん近づいた男子校受験者数は、21年入試で11,000名台に戻った。
実は2011年以来、12,000名を割っており、平均的な受験者数は11,000名前後だった。いわばこの10年来の状況に21年では戻っていることになる。

男子校受験者の特徴はA+B+Cの受験(つまり偏差値55以上の受験)がその大半(65%程度)を占める、ということでその構造はこの10年来変化がない。
むしろその次のランクのD+E(つまり偏差値54~45)層の受験者数が沈静期の2012年~2014年に減少した。
この傾向が2018年以来再び顕著となっており、A+B+C層のシェアをより高めている。

つまり男子校中下位ランクの不振はこの間の2017年以降の全体的な受験者数の回復過程にあっても、一向に改善していないことがここで改めて鮮明な印象を与えている。

そのことは前記した共学校の大幅な中下位ランクの続伸と対照的であり、男子校人気が堅調なA+B+C層に限定され固着した状況にあることがわかる。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

(株)森上教育研究所 所長


1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。

中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。

中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。

著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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