【大矢 純】対話的な学びと「余白」

これまでの4回は主体性を引き出すということをテーマに進めていきました。
そして前回は「主体性を引き出す授業構成」ということで、授業構成の工夫を中心にお伝えしました。
これからしばらくは「対話的な学び」をテーマにして進めます。

「対話的な学び」というと何を連想するでしょうか。
多くの方々が、ペアワークやグループワークを思い浮かべます。当事者意識を持って理解し、自分の言葉で表現するということでしょうか。
ただ、その第一歩は発問の工夫によって踏み出せることを6月にお伝えしました。
確かにアクティブラーニングという言葉が出てきた当初は、ペアワークやグループワークでアウトプットをすること自体が目的になって捉えられているケースが多かったため、そのような方が多いのでしょう。

そこから時間が経ち、ここ数年はアウトプットを利用して定着を図るという方が圧倒的に多くなりました。
もちろん、定着を図るためにペアワークやグループワークを行うのも間違っていませんが、「対話的な学び」の本質はもっと奥にあります。
ということは、子どもたちの成長のためにまだまだできることが多くあるということです。

 

教育に関わる世の中の3つの変化

アクティブラーニングという言葉が出てきたころから、世の中は大きく進化してきました。
特に教育にも大きく影響を与えたのはスマホやタブレットの普及、Wi-Fiや4Gの普及、インターネットやSNSの進化です。

それまで端末は主に一家に1台のパソコンでしたが、スマホやタブレットの普及で完全に個人でインタ-ネットにアクセスできるようになりました。
また、Wi-Fiや4Gの普及により、それまで文字や写真主体でやり取りしていたものが動画に置き換わり、昔はテレビ会議と呼ばれて高価な設備がないとできなかったオンライン会議が手軽にできるようになって、それがコロナ禍で一気に普及しました。

さらに、端末を個人で所有できることでFacebook・InstagramやLineのように、メッセージだけでなく動画さえも不特定多数の人へ発信したり、双方向で気軽にやり取りすることが可能になりました。

公立の小学校でも1人1台の端末が貸与されて持ち帰れるようになってきた今、リスクを恐れず果敢に挑戦する私学や塾こそ、人気取りに終わらない新たな教育の本流を創造していく必要があるのではないでしょうか。

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大矢 純(おおや  じゅん)

授業学研究所 所長

株式会社授業学研究所代表取締役。1966年岐阜県生まれ、東京都育ち。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、生徒のやる気を引き出すノウハウを体系化した授業学を提唱。
2009年に授業学研究所を設立し、未来の日本を担う子どもたちのために、授 業学の確立と普及を行っている。
全国の教育委員会、日本私学教育研究所、東京・神奈川・兵庫などの私立中高協会や連合会を始め、各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行うなど、活躍の幅を広げ5月よりオンライン講座も開講している。

▼『大矢 純』の過去記事を読む

【2021/7・8月】主体性を引き出す授業構成

【2021/6月】主体性を引き出す話のはじめかた

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