【小林 尚】教育業界の現場とYouTube活用の可能性

コロナウイルスが世界を混乱に陥れてから早くも1年半以上の月日が経ちました。
教育現場では感染症対策はもちろん、
新しい教育の仕組みを模索されている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は教育系YouTuberに着目し、
今後のYouTube活用の参考になる可能性のあるチャンネルを紹介したいと思います。

 

とある男が授業をしてみた

まず1番にご紹介したいのが、
教育系YouTuberの中でも最古参にて最も登録者数の多い「とある男が授業をしてみた」です。
このチャンネルは葉一さんという方がほぼお一人で運営されているチャンネルですが、おそらくYouTubeにおいて最も長く講義動画を配信しているチャンネルです。
ご本人ともお話しさせていただく機会が何度かあり、途中大変なこともあったようですが、現在は登録者数155万人を超える教育関連の最大チャンネルに成長しています。

動画の作りは非常にスタンダードで、ホワイトボードを活用しながら穴埋め形式で、教科書レベルを中心に見やすい動画を数多く配信しています。
すでに公開されている大量の授業動画は再生リストから見ることができる他、現在は勉強のモチベーションをあげるようなトーク動画やオンライン自習室形式で生徒と一緒に勉強できる「場」の提供も行っています。

授業の内容も突飛なものはほとんどなく、ご本人も「学校の授業を受けられなかった人でもわかるように」を心掛けているようですので、彼の動画を生徒さんに視聴してもらうという形式でも、教育現場で活用できるかもしれません。
実際にそのような動きをしている教育機関はいくつもあるようです。

一方、動画の作り方としても動画の長さや語り口、精緻なホワイトボードの作り込みは、今後YouTubeや動画を活用する教育現場にとって大いに参考になるものです。

 

予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」

次にご紹介したいのが「予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」」です。
通称「ヨビノリ」と呼ばれ、チャンネル名の通り理系の動画を中心に公開しており、理系志望の高校生や理系大学生からは絶大な人気を誇っています。
前述の葉一さんに比べると活動年数は短いものの、こういった理系コンテンツをYouTubeで紹介する先駆けとなった存在です。
現在のチャンネル登録者は75万人ですが、人気は鰻登りであり、そう遠くない未来に100万人を突破するでしょう。

ヨビノリは理系大学院出身のたくみさん(出演)とやすさん(動画編集)で運営されており、主な内容は大学レベルの話になっています。
大学の講義の参考情報としてシラバスに掲載されることも多数ある通り、内容は定評があります。
しかしここまで人気が出たのは高校生などの若い層の支持があったからでしょう。

日本は理系離れが毎年のように叫ばれていますが、理系志望の生徒により理系分野に興味を持ってもらう教材として、高校レベルの教育現場でも活用できる可能性があると考えています。
単純な大学レベルの講義だけでなく、高校生向けの授業や、社会人でも楽しめるノーベル賞の解説、理系分野の研究者との対談など、
なかなか学校現場や塾ではフォローしきれない、でも高校生にはぜひ伝えたい内容が動画として公開されています。

1 2

小林 尚(こばやし しょう)

株式会社キャストダイス(CASTDICE Inc.) 代表取締役
個別指導塾CASTDICE 塾長


埼玉県出身。私立開成高等学校、東京大学法学部第Ⅰ類卒業。
大学在学中は大手予備校に勤務し、東大・医学部をはじめ多数の難関大合格者を輩出する。また、新規校舎立ち上げに参画し、各種経営指標で全国1位を連続で獲得した。卒業後は経営コンサルティング会社の戦略部門を経て株式会社キャストダイスを設立。新規事業開発、人材・組織変革を専門に3度のプロジェクト表彰を受賞する他、人材関連企業を経営する等、活躍のフィールドは多岐にわたる。
近年ではYouTuberとして、受験・キャリアに関する動画を配信中。開成高校弁論部・コンサルティングで培ったロジカルな指導力を武器に、大学や教育機関での講義・講演・セミナーを実施している。『開成流ロジカル勉強法』(クロスメディア・パブリッシング刊)。

▼『小林 尚』の過去記事を読む

【2021/9月】新しい大学群「TOCKY」

【2021/7・8月】大学群の歴史 MARCH編

≫さらに読む