【大矢 純】対話的な学びのために必要な力

前回は「効果的なグループワーク」ということで、いろいろな教室で行っているグループワークで起きがちなこと、それを回避するために必要な基礎力と4つのポイントをお伝えしました。

私が指導している先生方からも、この2学期にそれらを実践して大きく状況が変わったという声を多くいただきました。
ほんの少しのことでも、クラスの状況が大きく変わるものです。

さて、今回は『対話的な学び』のシリーズ第3回、対話的な学びを実現するために教師はどこを目指すのか、そのために児童・生徒にはどんな力が必要なのかについてお伝えします。

 

「協働的」と「対話的」との違い

対話的な学びを実現するために必要な力を考える上で、対話的な学びの本質を理解することはとても大切です。
残念ながら、まとめや発表に主眼を置きすぎて「協働的」で留まってしまっているケースが多々あります。
教師自身が対話的な学びの本質を正しく理解できていないことに起因する場合が大半ですので、教師が正しく理解することで一気に「対話的な授業」がレベルアップします。

『アクティブラーニング』が『主体的・対話的で深い学び』という言い方に変わったことは皆さんご存知の通りですが、実は当初は『主体的・協働的』となっていました。
それが少し後で「協働」ではなく「対話」という言葉に変わったのです。
言葉の綾のようですが、その意図が最も重要なポイントなのです。

約5年前、文部科学視学官の田村学先生が次のようにおっしゃっています。

「『協働』とは、異なる多様な存在が力を合わせて何か一つの目的に向かっていくというイメージだと思います。
一方『対話』は協働に比べてやり取りがあり言語が介在し、また考えて自分で認識するというイメージがあります」

これを授業の中の具体的なイメージに落とし込むなら、グループで力を合わせて発表という目標に向かっていくだけであれば「協働」の枠の中に留まってしまうということです。
「対話」のレベルになるには、発表はあくまでも一つの通過点でありそこが授業の第一目的ではなくなります。

どこに行く必要があるかといえば、
1.自分の考えをまとめてそれを他人に分かりやすく伝える
2.他人の話をよく聞き言わんとすることを正確に理解する
3.自分の考えとの違いを客観視し自分の考えの不足を補う
4.他人の考えも組み合わせて相手に分かりやすく発表する

ところなのです。

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大矢 純(おおや  じゅん)

授業学研究所 所長

株式会社授業学研究所代表取締役。1966年岐阜県生まれ、東京都育ち。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、生徒のやる気を引き出すノウハウを体系化した授業学を提唱。
2009年に授業学研究所を設立し、未来の日本を担う子どもたちのために、授 業学の確立と普及を行っている。
全国の教育委員会、日本私学教育研究所、東京・神奈川・兵庫などの私立中高協会や連合会を始め、各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行うなど、活躍の幅を広げ5月よりオンライン講座も開講している。

▼『大矢 純』の過去記事を読む

【2021/10月】対話的な学びのための効果的なグループワーク

【2021/9月】対話的な学びと「余白」

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