【小林 尚】学校現場での先端的取り組み
私たちの身の回りで起きている変化、例えばグローバル化・デジタル化・少子化など、常に変化する社会状況は、教育に大きな影響を与えています。
これまで行われてきた伝統的な指導・教育にも価値があることは私自身認めるところではありますが、一方で一部の学校では社会を先読みし、先進的な取り組みにチャレンジしている組織も増えてきています。
その中でも近年、新しいタイプの学校が生まれています。
私がYouTubeで発信してきた中でも評判や関心が高かった実例を2つピックアップし、ご紹介できればと思います。
まさかの「学校・塾一体型」
まず、1つ目にご紹介するのは金沢学院大学附属中学校です。
学校と塾とが一体となった中高一貫校で、まさに公と民の教育が合体した形といえます。
このような形式としてこれまでも学力の底上げと進学実績を増やすため、放課後に塾講師が来て行う「校内塾」はありました。
この校内塾とのちがいは、民間側のプラスティー教育研究所が学校のカリキュラムづくりや企画に参画している点です。
また、自身が経営する塾でも「先取り主義」を掲げる私としては、その学びのプロセスに興味を惹かれます。
なんと、学校公認で、塾での先取り学習をしているのです。
学校では「復習」として授業を行い、丁寧に指導します。授業後、応用的な講座をまた塾で実施します。
つまり、塾で先取り→授業で復習→塾で応用、という流れです。
これらすべてが学校内で行われているという斬新さ。学校と塾が手を組むことで、生徒により良い指導を届けられるのではないでしょうか。
来春開校を迎えるにあたり、同時に「中学清鐘(せいしょう)寮」(男子寮・女子寮)を開設するそうです。
これからの躍進に注目したい学校だと言えるでしょう。
河合塾の学校?
もう1つの例は、2019年に河合塾が開校したドルトン東京学園です。
こちらも私立の中高一貫校です。
同校の特色は、教育指導法のひとつである「ドルトンプラン」を採用していること。
ドルトンプランとは、アメリカの教育家ヘレン・パーカーストが提唱した学習者中心の教育メソッドで、教育者(指導者)主体の指導ではなく、生徒一人ひとりに焦点を当てた教育(指導)を行うというものです。
1つ面白い例を挙げると、授業で使用するパソコンは画一のものではなく、各々が使いやすいパソコンを生徒が自由に購入します。
使うものを各自が選べる、という姿勢が良いですね。
また定期試験がないことも面白い取り組みだと言えるでしょう。
その代わり、各生徒と教師の約束(同校的には「契約」と呼ぶようです)として学習カリキュラムを組み立てています。
具体的には、学習内容ごとにアサインメントをつくり、4~8週間ほどかけて取り組みます。
アサインメントとして目標を設定し、いつまでに何をし、何ができるようになるかを定め、進めていきます。
それぞれに合わせた内容により学ぶ意欲を引き出し、主体的な態度を育て、集中力・持続力・考える力を伸ばすことができます。
情報はすべてクラウド上で管理され、保護者も確認できます。