【出口 汪】読解力がすべての鍵

論理的読解力

日本語における四技能、「読む力」「聞く力」「話す力」「書く力」のうち、どれを重視すべきなのか?

もちろん四技能すべて、私たち日本人が日常必要とし、生涯にわたって使い続ける大切なものであることは疑う余地がない。
問題はそういうことではなく、学習において何から始めなければならないかということである。
結論としては、読む力=読解力を獲得することから始めなければならない。
ただしそれが論理的に読む力であることは条件である。

多くの子どもたちは何となく文章を読み、行き当たりばったり設問を解いている。
それでも選択肢があればそこそこ点を取るし、記述式問題では文中言葉を抜き出したり、つなげたりして部分点を獲得する。
だから、読解力の不足に対して無自覚なのだが、こうした読み方でどれほど問題練習を積み重ねたところで、一向に力がつくはずがない。

活字になった文章は不特定多数の読み手に向かって書かれたものだから、当然論理的な文章でなければならない。
そこで、筆者の立てた筋道=論理をたどっていくことによって、読み取った情報を論理的に整理ができる。
この状態が「分かった」ということであり、それゆえ、設問に対して論理的に答えることができるのだ。しかし、問題はこれからである。

 

論理力がすべての土台

さて、冒頭の質問に戻ることにしよう。
まず「読む力」を最初に鍛えるべきなのは、そのことによって論理力を獲得できるからである。
論理力はすべての土台となる力である。
英語、古文、漢文、さらには数学の文章題、理科の実験問題、社会の資料問題など、すべて日本語を論理的に使う力が前提となる。

現に共通テストでは、どの科目でも対話文など、日本語の記述が増えていて、それらを理解するのに手間取った受験生が多いのである。

少子化が進みつつある現在、推薦入試などで、学科試験を課さない大学が増えている。
そこで必要なのは、論理的に考え、論理的に話し、論理的に書く力である。
それが面接、集団討論、小論文の力となる。

読解力を鍛えることは単に論理力を獲得するためだけではない。
語彙力、思考力、分析力、読解力、論理力、背景知識の習得と、徹底的に現代文の問題を解いていくことが何よりも大切なのである。

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出口 汪(でぐち ひろし)

株式会社水王舎 代表取締役


関西学院大学大学院博士課程単位修得。代々木ゼミナール、東進ハイスクールの講師を歴任し、「国語の文章を論理的に読解する手法」を授業に取り入れ、一躍カリスマ講師としての人気を博する。その後、1993年には「総合予備校S.P.S」を、2000年には教材開発・出版を目的とした「水王舎」を設立する。

2003年に発行した「論理エンジン」は、国語を感覚的に解くのではなく、筋道を追って論理的に解くことの重要性を説き、全国公立私学250校以上が採用するなど、大ヒットを記録する。

広島女学院大学客員教授、基礎力財団評議員。著書『はじめての論理国語(水王舎)』『出口先生の頭がよくなる漢字(水王舎)』『知っているようで知らない夏目漱石(講談社)』など著書多数。

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