【小林 尚】高校入試の性別欄が廃止に

性的少数者への配慮

2つ目の影響として挙げたいのは、性的少数者への配慮です。
今回の報道をみていると性別欄の廃止があたかも性的少数者への配慮を成し遂げたかの如く扱われているのを散見します。

性別欄の廃止は良いと思いますが、実のところ、それ自体が本当の意味でも性的少数者への配慮にはなっていないと思います。
はっきりいって今回の対応はあくまで書類上の話にすぎず、前述の通り自治体も「なくても困らないから」と述べています。
このような表面的な対処はあくまで「配慮している感」を示すだけであり、本質を捉えて差別や偏見を是正していくことにはならないでしょう。

それよりも、例えば授業の中で世の中の少数派について取り扱って考える場を用意したり、話し合う機会を設けたりしながら、自然に配慮できる形を目指していくべきだと思います。
その意味では書類上で対処するのではなく、実際の学校生活の中で工夫を凝らす方向で対処すべきことだと思います。

尚、個人的な意見ではありますが、日本は諸外国に比べて差別の少ない国だと感じています。
もちろん、差別や偏見は現に存在しており改善していかなければなりません。
ただ、諸外国の制度や枠組みを真似するだけではなく、日本の現状・文脈・文化などを考慮し、それらに沿ってアップデートしていくべきでしょう。
私の経験上、普段のコミュニケーションの中でも、他人の言葉・表現・意図をどう受け取るかは千差万別のため、対峙する相手を慮ることが大切です。
その場、その時、その相手に適した表現を見極め、用いていきたいものです。

性別欄の廃止から話が広がりましたが、本質的な配慮とは何かを追求し、教育につなげていく重要性を改めて感じています。

1 2

小林 尚(こばやし しょう)

株式会社キャストダイス(CASTDICE Inc.) 代表取締役
個別指導塾CASTDICE 塾長


埼玉県出身。私立開成高等学校、東京大学法学部第Ⅰ類卒業。
大学在学中は大手予備校に勤務し、東大・医学部をはじめ多数の難関大合格者を輩出する。また、新規校舎立ち上げに参画し、各種経営指標で全国1位を連続で獲得した。卒業後は経営コンサルティング会社の戦略部門を経て株式会社キャストダイスを設立。新規事業開発、人材・組織変革を専門に3度のプロジェクト表彰を受賞する他、人材関連企業を経営する等、活躍のフィールドは多岐にわたる。
近年ではYouTuberとして、受験・キャリアに関する動画を配信中。開成高校弁論部・コンサルティングで培ったロジカルな指導力を武器に、大学や教育機関での講義・講演・セミナーを実施している。『開成流ロジカル勉強法』(クロスメディア・パブリッシング刊)。

▼『小林 尚』の過去記事を読む

【2022/2・3月】2022年度入試 共通テストの振り返り

【2022/12・1月】学校現場での先端的取り組み

≫さらに読む