【森上 展安】文科省、飛び入学を認定~ 5年制中高一貫、5年制大学の構想を

文科省は4月1日付で省令を出し高校2年で大学に飛び入学を認定するとした。

これまで飛び入学自体はできても中卒認定で高卒認定とはならなかったため、飛び入学の利用者が伸び悩んでいた。
今回の省令では高校50単位、大学入学後16単位の取得を条件として、文科省に飛び入学を出願し、同省の委員会で審査し文科省が認定する仕組みになったと言う(朝日新聞4月2日付朝刊)。

中高一貫校は、これによって高2までに高3までの内容を教える進学校は高3の1年間を大学受験対策に充てることなく、大学に飛び入学ができる道を開くことができる。
また附属校は大学に1年早く進学できるよう学力テストを高3から高2におろして、そこでのスコアによって高3から系列大学に進学できるようにすることができる。
一方大学は現行の4年制から5年制にして1年間ダブルディグリー等に充てることが可能になる。
いずれにしてもここは中高も大学も新制度に沿った魅力あるカリキュラムを、高大接続を念頭に設計できる。

しかし現実論として大学のイニシアティブがあって可能な制度なので、まずは大学が動くことが先決だし、さらに言えば系列の附属校を持つ大学が附属校と連携をとれば一挙に実現できる。

 

昭和女子大モデル

さらに言えばこれは昭和女子大にすでにモデルがあって、同校は附属中学高校に五修生と言う6年間の中高一貫を5年間で修了する制度を以前から実現し、また大学にはダブルディグリーのコースもある。
つまりこの昭和女子大のような先行事例を文科省が制度的に追認したとも言えるのだ。
5年で高校課程を修了することは、進学校であれ附属校であれ現行でも中高一貫校なら可能であることは経験的事実である。

ただし進学校は最後の1年を大学受験対応に充てていたし、そのことが進学校としての存在証明であったり魅力であったりしている現状から言えば、そこをなくすことは、やはりにわかには難しいだろう。
下手に実施するとそもそも進学校のメリットを自ら否定することにもなりかねない。
その意味ではこの制度は附属校もしくは筆者がよく使う言葉で言うところの半附属校生(系列大に30%から70%進学をする系列高)に相応しい。

現状では日大と東海大が高2段階でテストがあり、そこで一定の判定が出る仕組みがあるようで、これは在籍生にとって高3時点での一発テストだけではないところに人気がある。

しかし例えば早稲田中学高校などのように高3の2学期末でなければ進学判定が判明しないとなると、6年間ずっと系列大へのロイヤルティーを試されているようで、それが本人にとってどういう良さがあるかは疑わしい。
やはり早々に専攻分野を見つけそちらに集中できたほうが本人にとっても大学にとっても望ましいはずだ。
ただそうなると専攻を変えたい時に、いまだに講座制の日本の大学だとリスクが高くならないよう保険をかけておく必要があるし、そういう注意が必要だ。

今日大学入試において一般入試を縮小し総合選抜の比重を高める方がその後の成果につながりやすいと考えられているはずだと思うが、仮にそうでなくとも、総合選抜の比重を高めることは大きな方向性としてあって、総合選抜適性はなんといっても自らの専攻が明確な生徒だと言うことはできる。
それを促すような今回の「飛び入学」制度はまさに当を射た具体策だといえよう。

これまでの附属校のあり方はエスカレーターと揶揄され「接続」ではなく「スルー」であったわけで、それぞれが学校として閉じられていてその意味では進学校も一般入試で仕切られていたと言う意味で同じことだと言えた。

ただ附属校本来の在り方からすれば、そこは切れ目のない教育が追求されるべきで、例えば青山学院が幼小中高大と英語教育委員会を共同で設置運営し一貫のテキストを作成しているという。
本来の在り方とはそういうものだ。
したがってそうした附属校のあり方からすれば、今回の飛び入学制度は附属校こそ率先して追求するべきと考えられよう。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

(株)森上教育研究所 所長


1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。

中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。

中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。

著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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