【出口 汪】塾の生き残り戦略

少子化が塾を危機に陥れる

これから塾の生き残りをかけた激しい戦いが始まるでしょう。

現在、ゼロ歳人口まで少子化が進むことは確定しています。
今までと同じ経営をしていたならば、子どもの数が減る分だけ、自ずと塾の生徒も減少し、どこかで経営が困難になるのは確実です。

確かにかつて多くの子どもが産まれた時代には、塾に行かせる子どもの数は限られていたので、逆に生徒数が増えるという現象も起こっていました。
しかし、今や大抵の子どもが塾に通う時代です。
その結果、今後は子どもの数が減るのと比例して、塾に通う生徒も確実に減っていくでしょう。

しかも、各地域で大手塾が寡占化を狙い、他の地域に進出して、激しい生徒獲得競争をし始めている有様は、まるで戦国時代のようです。
こうした中で、中小の塾はますます苦しい戦いを強いられているのが現実です。

受験を売り物にすることも、中小の塾ならば厳しいです。
なぜなら、父兄が選択する第一の基準は、塾の内容よりも合格実績です。
そういった意味では大手塾の方が明らかに有利で、これから合格実績を上げていくことはかなり困難であることは間違いありません。

第一、生徒は合格すると退塾してしまうのですから、毎年多くの生徒を確保する必要に迫られます。
これからの時代は、塾は生き残るために、何人の生徒を確保するかではなく、一人の生徒に何年通ってもらえるかに、方向転換しなければなりません。

 

新しい時代にふさわしい教育

これからの塾は今の時代状況ではなく、子どもが将来大学受験をする頃、あるいは社会に出る頃にはどのような状況になっているかを考え、その時に活躍できる学力を育てる教育を提供することが大切になってきます。

現在においても大学生の半分近くは推薦入試で、学科試験を受けることなく合格しています。
今後少子化が進むにつれて、推薦入試の割合が増えていくことは確実です。
また細かい知識を記憶しなくても、検索すれば事足りる現代は、計算はすでにコンピューターの仕事、漢字はワープロが自動変換する時代です。

それなのに旧態依然の教育を固守している塾がいかに多いのか、少なくとも中小の塾では、新しい時代に対応する教育に変えていかなければ、とても生き残ることなど無理でしょう。
しかし、多くの塾は今までの教育をどうやって変えていくのか途方に暮れるばかりに違いありません。

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出口 汪(でぐち ひろし)

株式会社水王舎 代表取締役


関西学院大学大学院博士課程単位修得。代々木ゼミナール、東進ハイスクールの講師を歴任し、「国語の文章を論理的に読解する手法」を授業に取り入れ、一躍カリスマ講師としての人気を博する。その後、1993年には「総合予備校S.P.S」を、2000年には教材開発・出版を目的とした「水王舎」を設立する。

2003年に発行した「論理エンジン」は、国語を感覚的に解くのではなく、筋道を追って論理的に解くことの重要性を説き、全国公立私学250校以上が採用するなど、大ヒットを記録する。

広島女学院大学客員教授、基礎力財団評議員。著書『はじめての論理国語(水王舎)』『出口先生の頭がよくなる漢字(水王舎)』『知っているようで知らない夏目漱石(講談社)』など著書多数。

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