【出口 汪】地方都市の教育革命

京都府綾部市の試み

京都府綾部市は人口3万5千人程度の地方都市である。
京都駅から直通の電車で一時間強である。

全国の地方都市の大抵は深刻な人口減少に悩まされている。特に若年層数の減少は著しい。
コロナなどの影響で、IT企業を中心として、テレワークが盛んになった結果、大企業が本社を地方に移転したり、優秀な社員が地方に移住したりすることが珍しくなくなってきたが、そのためにはクリアにしなければならない重大な課題があった。

地方に優秀な人材を流入させるには、高い教育水準が不可欠なのである。
だが、皮肉なことに、地方に行くほど低い教育水準に悩まされていることが多い。

かなり昔に綾部市で講演を行ったことがあったが、その時知り合った京都府会議員の四方源太郎氏から相談に乗ってほしいという連絡があった。
綾部市復興のために力を貸してほしいということである。
綾部市で、日本最高水準の教育を始めたい。綾部市は自然に恵まれ、土地代も安い。
こうした自然環境の中で子どもたちをのびのび育てることができたらと、その思いを語ってくれた。

都会の所得が高い家庭では子どもを塾に通わせ、幼少期から「お受験」をして、偏差値の高い大学に入るための勉強をさせている。
そういった環境がない地方都市では、企業誘致に成功しても、従業員は単身赴任でしか来てもらえず、必ずしも人口増加に寄与しない。
家族での移住をしてもらうには都会よりも魅力的な教育を地方に創り出す必要があるというのである。
私は彼に全面的に協力すると約束した。

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出口 汪(でぐち ひろし)

株式会社水王舎 代表取締役


関西学院大学大学院博士課程単位修得。代々木ゼミナール、東進ハイスクールの講師を歴任し、「国語の文章を論理的に読解する手法」を授業に取り入れ、一躍カリスマ講師としての人気を博する。その後、1993年には「総合予備校S.P.S」を、2000年には教材開発・出版を目的とした「水王舎」を設立する。

2003年に発行した「論理エンジン」は、国語を感覚的に解くのではなく、筋道を追って論理的に解くことの重要性を説き、全国公立私学250校以上が採用するなど、大ヒットを記録する。

広島女学院大学客員教授、基礎力財団評議員。著書『はじめての論理国語(水王舎)』『出口先生の頭がよくなる漢字(水王舎)』『知っているようで知らない夏目漱石(講談社)』など著書多数。

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