【森上 展安】私立中堅校 早慶上理実績が急減~都立一貫校には急伸校も

都立中高一貫校の実績が凄いことになっている。
手元に『ダイヤモンド・セレクト本当に子どもの力を伸ばす学校』2023年の執筆用にダイヤモンド・セレクト編集部が用意してくれた大学実績表があるが、国公立、早慶上理、GMARCHの卒業生対比の数値があるので少し拾ってみる。

 

各校の早慶上理実績に見る現状

まず日比谷を参考にすると日比谷の比率は国公立56.5%、早慶上智161.2%、GMARCH180%である。
さすがの実績で国公立5割以上をたたき出している。
これに対して都立一貫校の実績はどうか。
都立一貫校の実績は、国公立実績を見るとほぼ40%以上を出している。
もちろん日比谷に劣るといっても私立で言えばその実績を出している学校の中学受験偏差値は55より上の中堅上位校と言われる学校で、例えば昭和学院秀英40.5%、芝42.3%、栄東42.9%、逗子開成43.6%、桐朋48.1%と男子校中心となり、かろうじて埼玉の栄東、千葉の昭和学院秀英が共学校である。
その意味で、共学校で多くの都立一貫校がその実績をあげている意義は大きい。
ただし20%台に大泉、白鷗、富士などがある。いずれも併設型で高校募集もしているが、それがこのような実績に表れているとも言える。

もっとも20%台の実績の私学と言えばほぼ偏差値50以上56未満と言うところになり、ここでも私学の校名を挙げるならば巣鴨であり暁星であり高輪でありと男子校が多く、共学校としては帝京大学、公文国際等の名が見える。残念なのは横浜雙葉、横浜共立が昨年20%台だったが今年度は10%台になっていると言うことだ。つまり女子校の実績校は少ないわけで、都立一貫校はその意味でも、女子実績への貢献度は高い。

早慶上理の実績を見てみると、特に都立一貫校は30%台が2校(白鷗、富士)なのでそれ以外は低い比率でも40%台をあげている(40%台は立川国際の44%と大泉の49.7%がある)。

実はこの都立一貫校の早慶上理実績こそ筆者がすごいと考えた理由である。
というのも私立側がこの実績校(偏差値60%以上は除外)が昨年と打って変わって激減しているからだ(かろうじて男子校で城北や世田谷、巣鴨、暁星、桐朋、逗子開成、高輪、成城(順不同))などや、横浜雙葉、横浜共立、東洋英和、あるいは共学で帝京大学、公文国際、神奈川大学附属、栄東、昭和学院秀英などが上がるのみで注目すべきは共学校の東京23区の実績校は偏差値60未満では一校も存在しないということなのだ。
また女子校にしても23区内では東洋英和の1校のみ。さらにこれを東京全域に広げても三多摩に晃華学園があるのみ。女子校はたったの2校しかないのだ。

もちろん都立一貫校の国公立の実績における男子と女子の比率がどのようなものかわからない。
共学で5:5の構成である(実際は若干名女子が多い)からその実績におそらく女子が含まれると考えていいと思う。
しかしそのような早慶上理の私立側の実績の空白が突然生じたということが重大である。

これを手元の昨年実績と比較してみると、早慶上智40%以上の学校は偏差値46の光塩、47の富士見、49の晃華学園・國學院久我山、50の成城、52の都市大等々力・山手学院・高輪、偏差値53の公文国際、偏差値54の大妻・大宮開成・鎌倉女学院・芝工大柏・鎌倉学園・帝京大学、偏差値55の巣鴨・横浜雙葉・暁星・偏差値56の横浜共立、57の桐朋・逗子開成・世田谷・城北、58の東洋英和、59の神奈川大学附属・昭和学院秀英・栄東などがあり、女子校は合計で8校。男子校が10校、共学校が9校である。
そしてこれが、女子校が7から3に、共学校が8から7となり、特に東京に限れば女子校2、共学校2と女子の退潮が著しいことが判明した。

これは都立一貫校に加え神奈川県立平塚が45.4%から44.81%、市立浦和が53.8%から61.6%なども加えると早慶上理実績における私立中高一貫校の著しい退潮・公立一貫校の健闘が鮮明だ。
この事態をどう捉えるべきか。

都立一貫校の中高併設型の両国、大泉、白鷗、富士が両国を除いて20%台であることは3校が練馬区、台東区、杉並区といった私立志向が強い地域であることと、逆に言えば都立中等教育学校のほとんどが立地している公立志向の強い地域である三多摩では、そもそも私立進学者が少ない。
そうしたところで共学校として都立一貫校実績が伸び、私立志向の強い23区内では、私立実績が急減。
また都立併設型の白鷗が49.3%から30.1%、富士高校が43.8%から31.1%となっていて、都立一貫校でも併設型と言うことはあるにせよ、私立と同様に実績下降が鮮明だった。
その意味で必ずしも私立のみが実績不調と決めつけるわけにはいかないが、とは言えこれほどの実績低下は事実だからこそ、なぜそうなったのか原因を見極めておく必要があると思う。

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森上 展安(もりがみ のぶやす)

(株)森上教育研究所 所長


1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。

中学受験、中高一貫の中等教育を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓した。

私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』を月刊で発行している。

中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。

著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』、『中学受験入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)。

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